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自分に経済番組を担当させてくれれば番組の視聴率が上がると信じ、何度かそれを上司に進言したが、歯牙にもかけられず、自尊心を傷つけられて衝動的に辞めた。 次の職場では、前職の華やかさに及ばないことで不満をつのらせた。
社長を動かし、自分の好きにやってやろうと思ったその次の職場でも、大企業とは異質のやっかいな現実に、ついにがまんできなかった。 かつてのエリートも20年でただの人。
自己過信のもたらす非情の落とし穴に、彼はまんまとはまり込んでしまったわけだ。 学歴とビジネスにおける成功は、多少の相関関係はあっても、本来は別なものだ。
たとえ高卒でも出世する人はするし、中小企業で下積みして独立後に頭角を現し、中堅企業にまでのしあがってくる人もいる。 そうした人物ほど腰が低く、謙虚なものだ。
幹部候補の募集に応募してくる年輩者のなかに、脱サラ経験者がきわめて多いというひとつの現象がある。 履歴書には、代表取締役の肩書きが記されるが、内実は3年くらいで「倒産」「廃業」「自己整理」、これも「俺でもできる」の自己過信の結果であることが少なくない。

自己を正しく評価し、謙虚に事に当たらなければ、人生を誤ってしまういい例だ。 転職は自分を成長させる跳躍台と思えヤクルト・スワローズ監督・野村克也氏の「生涯一捕手」の名言が、男はかくあるべしと、ひところか男気の代名調のようにもてはやされた。
あの野村氏の言葉であるだけに、ズシリと胸にも響いてくる。 「石の上にも3年」「待てば海路の日和あり」「辛抱する木に金がなる」など、本来、日本人の「辛抱」に対する美意識は強固で、この意識が「生涯」を美辞ととらえる要因になった。
これまで転職が白い目で見られ、尻軽だ、根性がないというそしりを受けたのも、この美意識にかなっていなかった、という理由による。 しかし、美意識も時代で変わる。
ビジネスも「生涯一社」がダサく時代遅れとなり、これからは、3社、4社くらいの転職が格好いい先端のスタイルになりそうな気配さえある。 現実に「終身雇用ですよ、定年60歳ですよ」という猫なで声に耳を貸せない時代である。
忠誠を誓って早々と「肩たたき」にあってはたまらないし、大卒で管理職になれる確率も4人に一人。 仮に大企業に就職しても「業種として伸び悩む」「いずれ管理職も頭打ち」「現実に不況業種だ」となれば見きわめが大事になってくる。

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